コラムリレー 001
2013.09.02

上原幸子(うえはらさちこ)さん

きぬたまあそび村代表・
せたがや水辺の楽校事務局

武蔵野美術大学教授。警視庁のお馴染みのキャラクター「ピーポくん」のデザイナー。子どもたちが自由に遊べる「きぬたまあそび村」と自然を学ぶ「せたがや水辺の楽校、そして多摩川の遊び場づくりに取り組んでいる。

こどもが自由に活発に
遊べる場所を!

「きぬたまあそび村」の活動をはじめたきっかけは、子育てのために世田谷区に引っ越してきたこと。多摩川など近辺に自然が多い環境なのに、子どもたちがインドア派で外遊びをしていないことに気づきました。「あれはダメ、これはダメ」と規制が多く、子どもたちの行動範囲が狭い。子どもが自由に、活発に遊べる場が必要だと感じました。

平日の多摩川川敷は「誰もいないから危ない」と言われていて、子どもが行ってはいけない場所でした。恵まれた自然があるのにもったいない!そこに行けば誰かがいる子どもの集合拠点が河川敷に作れたらと、遊び場づくりを思い立ちました。

周りの人に声をかけて仲間をつくり、「この指とまれ」で賛同者が集まって活動がスタートしました。多摩川に自然豊かなプレーパークをつくりたい、というゴールイメージがありました。
広告デザインの仕事をしていたので、イベントを企画してチラシを制作するなど、情報発信につとめました。

世田谷区には市民活動をサポートする土壌がありますが、多摩川という公共での遊び場づくりは、国を含め官民協働で進めていく必要があります。学校・地域・行政、河川環境の専門家である中西修一さんをはじめとする多くの方の協力の元、国土交通省の「水辺の楽校プロジェクトを立ち上げ、スロープなどのハード整備や、「世田谷まちづくりファンド」の助成を受けて「せたがや水辺の楽校原っぱ」の遊び場が誕生しました。

Mr.多摩川「えのきん」から
学ぶ川遊び

“Mr. 多摩川”、“多摩川博士”こと、「えのきん」(榎本正邦氏)から川遊びを学びました。自分自身も実際に川遊びを体験して多様な生き物と接するうちに、その面白さにはまってしまいました。今でも子どもたちにさまざまな自然遊びを指南してくれています。

川遊びの一番のおすすめは、タモ網を使ってエビや魚とりをする『ガサガサ』。子どもでも魚をとることができます。泳いでいる魚をとるのは難しいのですが、草のしげみや岩陰でじっと隠れている生き物に足で“ガサガサ”と奇襲攻撃をかけると、いろいろな生き物を簡単につかまえることができるのです。

魚の名前もその場で学びます。ウキゴリというハゼの仲間やオイカワ、ウグイなどは多摩川ではお馴染みの魚です。娘は多摩川で立派なウナギをつかまえかけたこともありました。(そのときは逃してしまいましたが…)

子どもの安全のためにも
大人も川遊びをしてほしい

川の事故というものは、ふだん川に行かない人が安全の見きわめができずに危険な行動をとって起こることが少なくありません。近づかないのではなく大人も一緒に川遊びに行って、体験から学んでほしいです。

今のシーズンも川に入ることができます。大体4月から10月くらいまでは、中に入ることもできます。
「せたがや水辺の楽校」は、環境の専門家が関わり近隣の学校への授業協力も行っており、生徒さんたちが、授業で「ガサガサ」を体験しに来ます。
川に入ると、大人も子どもに戻ります。生き物がこんなにいるという感覚は、体験しないと分からないものです。

川遊びの服装は「濡れてもいい運動靴」と注意書きをしていますが、サンダル履きで来たり裸足になったりする人もいます。海ならサンダルを波にさらわれても打ち寄せる波で戻ってきますが、川では戻ってきません。返しのある釣り針が落ちている可能性もあるので裸足ではケガの危険があります。大人でも川のことを知らない人が多いので、そういう人たちにこそ参加していただきたいです。

また、毎年10月には、多摩川漁協の方が捕ってくれた鮎300匹ほどを、子どもたちと一緒に炭火で焼いて食べます。魚が苦手な子も、頭からかぶりついて美味しそうに食べますね。二子玉川には、将軍に献上する鮎をとっていた歴史もあります。

きぬたまあそび村は、子育て真っ最中の親が運営しています。私自身も活動を始めたころは下の子どもがまだ3歳でした。プレイリーダーや子育てサポーターといったスタッフがいますが、小さいお子さんがいるお母さんにも運営に参加してもらっています。地域みんなで作る遊び場なので、受益者である親御さんが主体的に関わることが大切だと考えています。

「きぬたまあそび村」は、世田谷区のこども部児童課の「自然体験遊び場事業」委託を受けて運営し、「原っぱ」は「水辺の楽校」が世田谷区と運用協定を結んで場づくりをしています。現在、「せたがや水辺の楽校」は毎月第1日曜日、「きぬたまあそび村」の活動日は水曜と土曜の週2回なのですが、回数を増やしていきたいです。

最近は、乳幼児対象の「ちびたまあそび村」や、プレーパークと連携して遊びの出前をする「プレーカー」など、公園に出張する活動もしています。

終わりに

きぬたまあそび村は毎週水曜日と土曜日の10時半から17時まで、子どもも大人も誰でも自由に遊べるところです。皆さんも、川原の風を感じながら多摩川の生き物に出会いに、ぜひお出かけください。



[ 関連リンク ]

きぬたまあそび村 http://asobimura.exblog.jp/

せたがや水辺の楽校 http://semizube.exblog.jp/